柳 清司(文・文 東京・府中市在住)

笛と友

 山梨県河口湖村の中学校で一日体験教室「親子ふれあい講 座・しの笛作り」を始めて3年になる。

 中央大学国文の同期生、渡辺幸之助がそこで国語の先生をし ていて、私を講師にまねいたのだ。私も都立高校で国語を教えて いるのだが、笛は18年来の趣味である。師匠から福原幸三郎の 名前をいただいている。

 10月のとある金曜日の夕刻、高速バスで河口湖に向かい、彼 の家に泊まる。翌朝が仕事だ。

 技術室に集まった7、8組の親子に竹筒を配って笛を作る。ネ ズミ歯の錐で竹に穴をあけ、ナイフで寸法通りにひろげてゆく。 歌口の上のところにコルクを詰めれば笛になる。 穴をあけたところのささくれなどは、紙ヤスリで丁寧に磨いてや れば、自然の竹と人の手のぬくもりが調和した美しい楽器が出 来上がる。

 横笛は音を出すのがたいへん難しい楽器だが、皆作りながら試 し吹きをするのですぐ鳴るようになる。音が出るととてもうれしい。 吹き方をきちんと教える時間がないので、たいていの親子たち はこの場限りの楽しみで、あとは忘れてしまうことだろう。けれ ど、こうして教えたうちの何人かはいずれもう一度自分から笛を 手にしてみる日が来るに違いない。その時が本当の笛との出会い だ。そして、私のように一生笛とつきあうようになる。

 つきあいというのはモノもひとも同じで、学生時代毎日親しくして いても、卒業後は一度も会わないヤツもいる。が、何かの関係で互 いに再び求めあったとき、生涯のつきあいが始まるのではないか。

 今夜(2011,5,22)、私は日本橋三越劇場で奥山眞佐子ひ とり芝居「十三夜」の笛を吹く。プロの舞台の助演をするのは初 めてのことである。

 そんなふうに再会した友が何人か来てくれる。渡辺も奥さんと 一緒に河口湖から来てくれる。有難いことである。

(会報2号掲載「会員から(寄稿)」より)



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